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能作訪問  2014・06・10

日本有数の工業都市と呼ばれる富山県高岡市の株式会社能作へ

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工業団地ですが、随所に緑があしらわれた綺麗なところに能作はあります。
そして早速制作現場へと案内頂きました。


まずは最初に大まかな工程の説明をしていただきます。

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そして工場内へ。
まずは真鍮を加熱(1200℃~1400℃)し、型へ流し入れているところ。

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かなりの高温かつ重量もありますので慎重かつ素早い作業が求めらる工程です。

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そして次は型をとる工程。
これは真鍮・錫共に同じ型を使った工程となります。
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粘土質の土を型の周りに。
この工程では土を硬く詰め過ぎるとガスが抜けなくなり、逆にきちんと詰めれていないと製品の形が綺麗に出来ないという絶妙かつ熟練の職人の技が垣間見れます。

こちらは少しのずれも許されない慎重さが求められる型から抜く作業。
鋳物製法ですので、縦半分のものを二つつなぎ合わせて製品となります。
ですので、寸分の狂いもなく作らないときちんと完成しないのです。
ここでは空気を微振動させ慎重に綺麗に抜いていきます。
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そして、錫の説明も。
錫は200℃で完全に溶ける素材です。鍋で溶かしたのち型に流し込んでいきます。
右下にある製品を取り出した後の部分は100%リサイクルでもう一度溶かして使います。
これは錫が大変高価な素材であるのに対し、能作の製品が高品質ながら出来る限り低価格で提供したいという理念からです。

写真は純度100%の錫の持つ柔らかさと耐久性、そして純錫を曲げた時に出る音(錫鳴き)について説明を受けています。
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これが流し込みを待っている状態。
一人の職人が一日頑張って60出来るかどうか。
この状態を見ても丁寧な仕事ぶりがわかります。
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そして見学は型の保管庫へ。膨大な数の型が綺麗に整然と保管庫で並べられています。
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ちなみに甲子園高校野球の優勝プレートはここ能作にて真鍮でつくられているんです。

そして磨きの工程へ。磨き前と磨き後なのですが、これは一次磨きが終わったところでここからさらに職人の手によって一つ一つ手作業で磨きこまれていきます。
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真鍮については様々な削り・磨き作業が行われています。
職人の黙々としたプロの仕事に思わず見入ってしまいます。
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錫については柔らかい素材故、さらに慎重かつ丁寧な磨き作業が行われます。
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そうして沢山の職人の完全なる手造りで出来上がった芸術品と呼ぶにふさわしい商品の数々。
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見学させて頂いた感想と当店が能作製品を販売する意味・・・

「ハンドメイド」とは聞いてはいましたが実際機械に頼っている部分も少なからずあるだろうと思っていました。
しかし、驚くことに本当に全て手作業。これもすべては品質の高さを求めている結果で数々の熟練の職人の手によって生まれる、まさに伝統の製品だと再確認できました。
同時にやはり機械製品にはない、手造り製品故の温もりを感じました。

金属製品は冷たいイメージを連想される方も多いと思いますが、この能作製品には「人の温もりがあります」。
大量生産せずにそのこだわりを貫いている姿勢には我々の仕事にも考えさせられる部分と共感する部分が存在し、今後の良い刺激も頂きました。

日本酒をより美味しく、もっと皆様に愉しんで頂きたい・・・という気持ちから今回の能作製品との出会いがありました。そして当店のような名の無い小さな店のある種、無謀ともいえる打診に対して快く引き受けて下さったのもどこか職人気質という面でご共感頂けたものだと思います。

くさびにご来店頂くお客様にはまず第一に本当に美味しい日本酒を取り揃え、よりたくさんの方に日本酒をお飲み頂き、外食を愉しんで頂く。

そしてそれに付加する形でこういった認知度はあってもまだまだ浸透していない素晴らしい日本の持つ伝統や技術に裏打ちされた製品を知って頂き、さらに日本酒を好きになって頂きたいと考えています。

昨今、ご自宅でお酒を飲んだり手の込んだプロ顔負けなお料理を作られる方もたくさんおられます。
飲食に関わるものとしてそういったシーンでも何かご来店頂くお客様のお役に立ちたい、様々なものをご紹介出来れば幸いです。
そういった背景もあり、今回は店内で使用するという枠にとどまらず正式に販売店として承認を受けご家庭用や贈答用に当店で正規にご購入も頂けるという体制をとらせて頂きました。

そこには通常の販売店(物販)としてではなく、飲食店としてこだわりの日本酒を数々取り揃えているからこそ可能である「実際に使用して頂き、その良さを体感して頂ける」という魅力が御座います。
勿論、ご自宅などでご使用するのにご興味の無いお客様もおられますがくさびで日本酒をより美味しくお飲み頂けるという事に変わりは無く、飲食店としてのスタンスも変わりません。

感じて頂きたいのはこの能作製品の素晴らしさと日本酒の楽しさに尽きます。
日本酒にこだわって9年間営業して参りました。そして少し前から日本酒ブームとして世間の日本酒に対する認知も浸透して参りました。ですが、そういった一過性の流行などに振り回される事無く、くさびは本物志向で今後ともお客様に「旨い!」と言って頂けるもののご提供、そして造り手の熱意をしっかりと代わりにお客様にお伝えする事に全力で挑み続けていきたいと思います。





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